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不動産登記こぼれ話~あの建物の登記 どうなってる?~


1. 序文


 新しく建物を建てた場合には、「建物表題登記」を申請する義務があります(不動産登記法第47条第1項)。これは建物の所在場所や建物の種類(「居宅」や「店舗」など)、構造、床面積を明らかにするもので、土地家屋調査士の専門分野となります。


(※ 我々司法書士が専門としているのは不動産の所有者が変わった とか担保を設定した などの不動産の権利に関する登記ですので、よく混同されがちなのですがちょっと違います)


ところで、著名なあの建物の登記、どうなっているか気になりますよね?(なりませんか)登記業界ではちょっと有名な話がありますので、そんな建物の登記について、今回はご紹介しようと思います。


本ブログを読んで戴いている皆様 いつもありがとうございます。そんな皆様には大変申し訳ないのですが、今回は全く役に立たない話題です。
あらかじめご了承願います。

2. 東京スカイツリー

はじめに、不動産登記法における「建物」の定義は以下のとおりとなっています。
「屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であってその目的とする用途に供し得る状態にあるもの」となっており、簡単に言うと・外気分断性 ・土地への定着性 ・用途性が要件とされています。


東京スカイツリーも上記3要件を満たしているので建物であり、当然登記はされています。
「鉄骨造陸屋根地下1階付18階建」の区分建物となっています。
スカイツリータウンの店舗等に加え、人が入れる部分(展望台や放送ブース)しか階数にカウントしていませんので、634メートルの高さがありながら19階建なんですね。


ちなみに私もスカイツリーの建物図面(法務局に備え付けられている各階ごとの平面図)を見たことがありますが、螺旋状の構造になっているためでしょうか なかなか複雑でした。

3. 東京ドーム・甲子園球場 

東京ドームは完全に屋根で覆われているので、上記3要件を満たしており建物として登記されています。床面積は約27,900㎡となっています。
片や、甲子園球場や横浜スタジアムなどドーム球場でないスタジアム(屋根がなく、外気分断性を満たしていない)はどうでしょうか。結論を言うと、建物として登記はされていますが床面積はスタンド部分など屋根のある場所しか認定されないため(不動産登記事務取扱手続準則第77条、第82条)、ドーム球場に比べると床面積は非常に小さくなっています。


野球場等については外気分断性についての認定が幾分緩和されており、屋根を被せたかたちの西武ドーム(今はメットライフドームというんですね)も東京ドームと同様の取扱とされています。

4. 国会議事堂

なんだかはとバスツアーみたいになってきましたが。
国会議事堂も当然立派な建物なのですが、登記はされていないようです。国の所有物である不動産については表題登記の申請義務が免除されていることによりますが、もうひとつ建物登記の要件として上記の3要件のほかに「不動産として取引性のあるもの」が必要であるという説もあり、これも登記されていない理由の一つと思われます。


ちなみに、「取引性があるもの」ではないという同じ理由から、大阪城の建物も登記がされていないようです。

5. 鎌倉大仏


イメージとしても「建物」ではないですよね。確かに「胎内拝観」として中に入ることはできますし、外気分断性と土地定着性は満たしているのですが、ただ中に入れるというだけで用途性がないために建物ではなく、単なる建造物であるとして登記はありません。
ただし。
同じく鎌倉市にある大船観音像(JR大船駅からも見えるちょっとこわいアレです)については、中には祭壇があり展示物など施設が設けられている(用途性あり)ことから、建物と認定されます。

6. ディズニーランド


ディズニーランドの園内にある多数のアトラクションですが、こちらも3要件を満たしているものであれば建物登記がされています。園内には100以上の建物が登記されているようですね。
完全に外気と分断されている「シンデレラ城」「カリブの海賊」「スペースマウンテン」などは納得できるところですが、「ビッグサンダーマウンテン」については、搭乗場所までの行列が続く部分は登記されているものの、岩山の中を走行する部分は屋根もなく、登記の対象外です。

面白いのは「スプラッシュマウンテン」で(一時twitterなどでも話題になっていましたね)、建物登記はされておりますがその種類が何故かそのまま「スプラッシュマウンテン」として記載されています。不動産登記事務取扱手続準則では、列記してある建物の種類に該当しない場合には建物の用途により適当に定めるものとする(第80条)とありますが、列記のなかにある「遊技場」では不都合があったのでしょうか・・・

いかがでしたでしょうか?想像以上に役に立たない情報だったと思いますが、登記を扱う仕事をしているとこんな話題もたまに出てくるのですよ。
東京オリンピック開催に向けて新しく建設された施設についても気になるところですね。

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