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年末年始の建物解体~固定資産税のお話~


 メリークリスマス。
 そして年末ですね。
 今年の3月からスタートした本ブログですが、これが年内最後の更新となります。
 いつも本ブログを御覧になって戴いている皆様、誠にありがとうございます。少しでも皆様のお役に立てていれば幸いでございます。

 2020年は皆様にとってどんな年でしたでしょうか?
 何よりも、コロナ禍により生活に大きな影響があったのではないでしょうか。小中学校の臨時休校にはじまり東京オリンピックの延期、緊急事態宣言、アベノマスク(着けている人は結局見ませんでした)、各地で相次ぐクラスター… 終息の見込がたたない現状ではありますが、少しでも早くコロナ前に「近い」生活が送れるようになることを心より願います。
 明るい話題も少なかったですね… 将棋の藤井聡太棋士二冠達成、「鬼滅の刃」大ヒット(私も原作読破しました)とかでしょうか。個人的にはエディ・ヴァン・ヘイレン死去、川崎フロンターレ 中村憲剛選手引退 がショックな出来事でした。 ほんと個人的ですね、すみません。

1.年末年始の建物解体

 さて。年末といえば。
 我々不動産登記を扱う司法書士業界において、年末限定で気をつけていることがあります。
 それは「家屋の取壊し」についてです。
 不動産買取業者様の案件で多いのですが、
①古家付で土地を買う売買契約を結び、
②既存の建物は購入後すぐに解体して更地にするので、売買残代金支払後(所有権移転後)も登記名義を旧オーナー様のままにしておき(所有権移転の登記をしない)、
③買主様による建物解体後に売主様(旧オーナー様)の所有権登記名義のままで建物滅失登記を申請
 する
 というケースがよくあります。
 既存建物の所有権移転登記費用軽減のために行われる手法ですが、万が一 建物解体工事が年をまたいでしまった場合、ちょっとだけ面倒なことになります。
 固定資産税の課税に関することです。

2.固定資産税課税の概略

 各地方自治体では、1月1日を中心としてヘリコプターや飛行機を飛ばして航空写真を撮影し(最近はドローンで行うところもあるようです)土地の利用状況の調査を行っています。お正月はやけにヘリが飛んでいるなあと思った方もいると思います。あれです。その航空写真から1月1日現在の状況を確定し、その年の固定資産税を課税していきます。
 よって、調査の結果1月1日の時点で古家が残存していると、その建物所有者につき1年分の固定資産税納税義務が発生します。前述のケースによりますと、古家の登記名義は旧オーナー様のままとなっていますので、旧オーナー様からしてみると去年のうちに売却したはずの建物について自分宛に固定資産税の納税通知が届いてしまうこととなります。
 ちなみに、土地や建物の所有者(=固定資産税納税義務者)は基本的には法務局で管理する登記記録をもとに特定されます。所有権移転や所有者の住所変更などが法務局で登記されると、その旨が税務当局に通知されます。いわゆる「税通」というものです。税務当局としては、その税通をもとに所有者を特定し、また固定資産税額を算定することになるのです。
 建物を解体して建物滅失登記を申請すると、その旨も税務当局に通知されますので、税務当局もその建物が存在していないことを了知し、今後は課税されない ということになります。

 といった理由から、残金決済および固定資産税の日割精算が終わっている建物についてはなるべく年内の建物解体(滅失登記の申請までできればさらによい)をお勧めしています。
 とはいえ、年末年始は解体業者様もお休みされているでしょうから、工事が間に合わないこともあると思います。その場合には、税務当局に対し「所有権は移転している」ことを申告することで旧オーナー様に対する課税は回避することができます。年明け後も残っている古家の固定資産税は、買主様が一年分負担することとなります(年の途中で建物がなくなっても、固定資産税には日割の考えがありませんので一年分の負担です)。

3.建物解体後の土地

 建物についてのお話は上記のとおりとなりますが、片や土地に関する固定資産税の話です。
1月1日現在で建物解体工事が完了しており土地が更地になっている場合には、土地に対する固定資産税額は前年度に比べて高くなると思われます。
 住宅たる建物が建っている土地については、課税標準金額(固定資産税額算定の基準となる価格)を評価額の6分の1とする軽減措置がとられています。建物がなくなることによってその軽減措置が外れ、その分土地の税額は高くなるということです(実際には、前年比も含め税額が算定されますのでそのまま6倍の課税となることはないですが)。
 この場合建物は解体されているので当然古家に関する固定資産税額はゼロとなりますが、そのかわり土地に関する税額は高くなる ということですね。どちらが得なのかは難しいところではあります。
 建物の解体時期が着工時点なのか完工時点なのか また建替えの特例が受けられるのかなど各自治体により違いはあるようですので、解体工事の前にどのくらい税額の変動があるのかを自治体に問い合わせてみるのが確実かと思います。

 結びとして。
 本年も、弊事務所 PEAKS TOKYO OFFICEは皆様のお蔭をもちまして、スタッフからコロナ感染者を出すこともなく無事に一年を終えることができそうです。来年も、リモートワーク含め引き続き感染予防対策に努めて参りたいと思います。
 弊事務所HPおよび本ブログをご覧になっていただいている皆様はじめ、関係者様各位には心より御礼申し上げます。
 今年一年 大変お世話になりました。誠にありがとうございます。
 2021年が、皆様にとりまして幸多き年となりますことを祈念しております。
 来年も、何卒宜しくお願い申し上げます。

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